著者
田村 有香
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会学研究科篇 (ISSN:18834000)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-18, 2014-03-01

この論文は,流通にのらない廃棄野菜をシート状に加工することで新しい用途を探り,将来的には食品系廃棄物の減量を目指す目的で作成するものである。食品廃棄物の大量発生は,国際的にも非難の的となり得る重大な問題であり,根本的で継続的な対策が望まれている。本稿では特に,未利用の野菜資源に着目した。野菜は,流通規格の問題,相場の問題,品質の問題,食文化の変化などの理由で生産量の約6 割程度しか出荷できず,残りは圃場で廃棄されているが,正確な量は統計にも表れない。その未利用野菜の有効利用に向けて,シート加工の可能性を検証した。気象条件や作物の状態,小売店との関係等によって,性状や発生量,品質,種類などが一定にならないことを考慮すると,野菜の種類や状態に左右されずに加工できる野菜シートの応用可能性は大きいと考えられる。今後は食品としても洗練されたデザインを導入したり,栄養素などの機能性を高めたりすることで付加価値を高め,新たな需要を掘り起こすなどのさらなる取り組みが必要である。