- 著者
-
田村 盈之輔
松野 信郎
新関 嗣郎
岩谷 昌子
若生 宏
畠山 富而
- 出版者
- The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.6, pp.259-267, 1974-11-25 (Released:2010-10-29)
- 参考文献数
- 39
岩手県農山村地区の発育の低下した学齢期前の幼児について, 日常摂取食物にリジン, または, リジン, スレオニンを投与し, 発育および血漿アミノ酸とくに, 分枝鎖アミノ酸, チロシン等に及ぼす影響を見た。1. リジン投与実験では, 4地区の1~5歳の男女42名を2群に分かち, 試験群に1人1日0.2gのL-lysine・HClを5~13カ月投与し, 幼児の体重, 身長増加量を対照群のそれらと比較したが, いずれも有意の差は認められなかった。しかし, 血漿アミノ酸比2.0以上のものは, リジン投与により, アミノ酸比がいずれも低下したが, 血漿遊離アミノ酸に及ぼす影響は明らかでなかった。2. リジン, スレオニン投与実験では, 3地区の2~4歳の男女36名を2群に分かち, 試験群に1人1日L-lysine・HCl 0.3g, L-threonine 0.15gを5カ月投与したのに, 体重, 身長の増加量は対照群に比して, 明らかに多かった。また, 試験群の血漿アミノ酸比2.0以上のものでは, アミノ酸投与後, アミノ酸比は明らかに低下を示した。なお, 投与前後の血漿アミノ酸パターンを比較すると, 分枝鎖アミノ酸, フェニルアラニン, チロシン, リジン等は増加の傾向を認めたが, バリン, フェニルアラニンは2%の危険率で有意の差を示した。