著者
田矢 理子 加賀谷 斉
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.890-895, 2021-08-18 (Released:2021-11-13)
参考文献数
17

気管カニューレは気道確保という点からは優れた戦略であるが,摂食嚥下機能という点からみるとマイナス面が大きい.カニューレの存在により,喉頭挙上の制限,カフによる頚部食道の圧迫,気道感覚閾値の上昇,声門下圧維持不能,喉頭閉鎖による反射閾値上昇などの問題が起こるとされており,条件が整えばカニューレ抜去を進めていく.気管孔に一方弁を装着して呼吸苦が出ない状態になればカニューレ抜去を進めるが,頭頚部がん症例では治療によって局所が脆弱になっていたり,解剖学的に変化が生じていたりするために,格別の注意が必要である.