著者
木村 丈司 甲斐 崇文 西海 一生 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.405-410, 2009-11-25
参考文献数
7
被引用文献数
1 3

抗菌薬適正使用の推進は院内感染対策において最も重要な課題の一つである.当院では2006年4月より第4世代セフェム系,カルバペネム系,ニューキノロン系抗菌薬と抗MRSA薬を対象として使用届出制を開始した.使用届出制の開始後,特に第4世代セフェム系,カルバペネム系抗菌薬の使用量が減少し,また投与期間が14日以上に及ぶ長期投与の処方件数も減少した.また2008年4月からはpharmacokinetics/pharmacodynamics理論に基づく抗菌薬の投与方法に関する資料の配布を開始した.資料の配布開始以降,cefozopran (CZOP)では1000 mg×3回/day及び2000 mg×2回/dayの投与方法が,meropenem (MEPM)では500 mg×3回/dayの投与方法がそれぞれ増加した.緑膿菌のCZOPに対する耐性株率は2005年度から2006年度で一時増加したが,2007年度では2005年度と同程度まで減少し,またMEPMに対する耐性株率は年々減少が見られた.このように,抗菌薬適正使用の推進及び抗菌薬耐性菌の増加防止において,infection control teamによる積極的な介入は重要であると考えられる.<br>
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.310-316, 2010 (Released:2010-12-05)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2 6

抗菌薬のPK/PD理論に基づく投与方法を実践するため,ICT,薬剤部にて抗菌薬のPK/PD理論に関する資料を作成し,2008年4月から院内への配布を開始した.同時に勉強会やICTニュースの配信,院内の抗菌薬使用指針の改訂といった活動も行い,PK/PD理論の普及を試みた.   活動を開始した2008年度以降の投与方法をみると,CZOPでは1000 mg×3回/dayが,MEPMでは500 mg×3回/dayが,DRPMでは250 mg×3回/day及び500 mg×3回/dayがそれぞれ増加した.また第4世代セフェム系,カルバペネム系,ニューキノロン系抗菌薬及び抗MRSA薬の平均投与期間は,2008-2009年度で2006-2007年度に比べ短縮していた.緑膿菌のCZOPに対する耐性率は,2005年度に比べ2006-2007年度で増加したが,2008-2009年度では2005年度と同程度にまで減少し,またMEPMに対する耐性率は年々減少が見られた.   このように今回我々が行った活動は抗菌薬のPK/PD理論の実践に有用であり,またPK/PD理論の実践は感染症治療期間の短縮及び抗菌薬耐性菌の増加防止に繋がる可能性が示唆された.
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.310-316, 2010-09-24
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

抗菌薬のPK/PD理論に基づく投与方法を実践するため,ICT,薬剤部にて抗菌薬のPK/PD理論に関する資料を作成し,2008年4月から院内への配布を開始した.同時に勉強会やICTニュースの配信,院内の抗菌薬使用指針の改訂といった活動も行い,PK/PD理論の普及を試みた.<br>   活動を開始した2008年度以降の投与方法をみると,CZOPでは1000 mg×3回/dayが,MEPMでは500 mg×3回/dayが,DRPMでは250 mg×3回/day及び500 mg×3回/dayがそれぞれ増加した.また第4世代セフェム系,カルバペネム系,ニューキノロン系抗菌薬及び抗MRSA薬の平均投与期間は,2008-2009年度で2006-2007年度に比べ短縮していた.緑膿菌のCZOPに対する耐性率は,2005年度に比べ2006-2007年度で増加したが,2008-2009年度では2005年度と同程度にまで減少し,またMEPMに対する耐性率は年々減少が見られた.<br>   このように今回我々が行った活動は抗菌薬のPK/PD理論の実践に有用であり,またPK/PD理論の実践は感染症治療期間の短縮及び抗菌薬耐性菌の増加防止に繋がる可能性が示唆された.<br>
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.18-24, 2013 (Released:2013-04-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

腎機能に応じた適正な投与量・投与間隔での抗菌薬使用を実践する為に,抗菌薬の投与量・投与間隔,腎機能に応じた調節を院内にわかりやすく周知する表を薬剤部主導で作成し,2011年4月より普及活動を行った.この活動の有効性を評価する為,MEPM, DRPM, TAZ/PIPCの投与量・投与間隔を腎機能別に活動開始前の2010年度と開始後の2011年度で比較・検討した.   結果として,MEPMではeGFR>50の群で1000 mg×3回/dayが,eGFR 11–50の群で1000 mg×2回/dayが増加した.DRPMではeGFR>50の群で500 mg×3回/dayが,eGFR 31–50の群で250 mg×3回/dayが増加した.TAZ/PIPCではeGFR>50の群で4500 mg×4回/dayが,eGFR≦20の群で2250 mg×3回/dayが増加した.MEPM, DRPM, TAZ/PIPC投与患者全体で今回作成した資料に従う投与方法が選択される割合は,2010年度の52.1%に比べ2011年度は67.0%と有意に増加した(p<0.01).   以上の事から,薬剤師主導による適正な投与量・投与間隔での抗菌薬使用に関する情報提供は腎機能に応じた投与量・投与間隔の調節の実践に有効であった.また腎機能別に抗菌薬の投与方法を評価する事は,抗菌薬使用に関する問題点を詳細に分析するのに有用と考えられた.