著者
河島 達郎 山本 俊夫 甲田 善生
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.T10-T15, 1982-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

海洋生物試料の乾式灰化に伴う揮発損失を,放射化分析法を用い34元素について検討した.試料には褐藻類のアラメ及びヨレモク,顕花植物のアマモ,海産魚のニボシ,被子植物のハマユウの葉を用いた.これらの乾燥試料は凍結粉砕装置で粉末にした.低温灰化は100℃で,高温灰化は500℃で行った.乾燥試料と灰化試料は同時に原子炉の熱中性子によって放射化分析し,それぞれの元素の回収率を求めた.その結果,高温灰化による損失の大きい元素は,塩素,ヒ素,セレン,臭素,ヨウ素,金及び水銀などであった.又低温灰化はヒ素とセレンの損失を減少させるのに著しく有効であった.この中でハロゲンの揮発損失は,試料の種別によりかなり異なり,一律の損失は示さなかった.