著者
甲田 広行
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.23, no.254, pp.464-476, 1966-06-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
10

スクリュー式およびプランジャー式射出成形機を用い, 直径4in., 厚み1/8inの円板についてポリカーボネート (PC) の成形収縮率を調べ次の結果を得た。1) 離型後の収縮過程はPCの金型温度から室温までの温度変化に基く大きな初期収縮過程と, PCの吸湿による膨張に相殺される小さな後収縮過程とに分けられる。2) 肉厚が均一で単純な形状の場合, ±0.02%の精度で成形できる。3) 成形収縮率は成形条件によって46×10-4~114×10-4mm/mmの広い範囲で変化する。4) 成形収縮率 S (mm/mm) は公称保圧Ph (kg/cm2) を変数とするS×104=A1-0.04Phなる式で表わされ, A1はシリンダーの圧力損失特性によって変化する。5) 樹脂温度TS (℃) を変数とすればSはS×104=A2-0.51TSなる式で表わされる。6) 金型温度Tm (℃) を変数とすればSはS×104=A3-0.20Tmなる式で表わされ, その影響は金型の熱膨張による寸法変化に基いている。7) Tsおよび分子量Mvの影響は溶融粘度η (poise) を変数としてS×104=A4+3.8×10-3ηなる関係式で統一的に表現され, これらの影響が主として成形機内の圧力損失と結びつけられることを推論した。8) 保圧時間, および材料の供給量はSに大きな影響を有するが, ノズルの形状, 射出圧および射出速度の影響は認められなかった。9) ポリアセタールについてSと成形条件との関係を調べ, PCとの相違点を明らかにした。