著者
山下 良平 甲野 真莉子
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
no.1, pp.23-29, 2018-03

地域に残る希少価値が高い資源を、その周辺の環境を含めて、後世に伝えるべく如何にして維持保全していくかが、今日の農山漁村の大きな課題である。多くの地域では、資源に関心が高い一部の住民が率先して取り組みをすすめるも、多くの住民の参加が得られないという共通の問題を抱えている。本研究では、海にまつわる環境資源の保全活動を今以上に活性化させたい地域を事例として、地域住民が有する環境資源の保護意識を規定する要因を、空間的指標と心理的指標から検討した。分析の結果、環境保全活動への積極性は、年齢や性別ではなく、海が癒やしの場所であるという認識が共通して強く作用していたことが明らかとなった。その他では、寄付などの経済的な貢献は沿岸部に居住する住民ほど意欲的であり、直接的に環境保全活動に参加する意欲は、海が生業の場である(あった)ことや、自慢の地域資源であるという認識の有無が強く作用していた。