著者
李 成五 呉 鍾基 申 芳燮
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.115, no.11, pp.815-819, 1999-11-25
参考文献数
17
被引用文献数
1 5

鉄酸化物の溶解は,金属表面の洗浄および産業鉱物から鉄分の除去などにおいて非常に重要な湿式製錬工程である。本研究ではしゅう酸を使用して各々の初期pH,反応温度,濃度の変化によって天然の鉄鉱石であるヘマタイト(赤鉄鉱)の溶解度を調査した。酸化鉄の溶解は反応温度25~60℃においてゆっきり進行したが,90℃以上では溶解度が急激に増加した。また0.048~0.476mol/lではしゅう酸濃度の増加によって溶解度が増加した。さらにpHの変化においても,pH1.5~2.5の増加により,溶解度は急激に増加したが、pH2.5以上では溶解度が鈍化するという現象を示した。以上の方法によって鉄酸化物であるiron rust(Fe<sub>x</sub>O<sub>y</sub>・xH<sub>2</sub>O)に存在するgoethite(針鉄鉱α-FeOOH)とlepidocrocite(リン鉄鉱γ-FeOOH)と水酸化鉄(Fe(OH)<sub>3</sub>)がヘマタイトより早く溶解するという特性を示した。