著者
大槻 明 町田 悠貴 川村 雅義
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.111-126, 2018 (Released:2018-11-08)
参考文献数
15

ユーザ(消費者)の潜在的なニーズを明らかにするために,最近ではサイレントカスタマー分析やサイレントマジョリティー分析などのアプローチが盛んに研究されている.また,スマートフォンやSNSの普及により,ユーザがいつでも簡単に趣向等をSNS上に投稿することが可能となった.そこで,本研究ではTwitterで「暇」と対外的に意思表示をしているユーザが何を求めているのか,という観点でユーザシチュエーション分析を行うことで,マーケティングに資するユーザの潜在的ニーズを明らかにする分析アプローチについて提案する.具体的には,独自に開発したスクリプトを用いて,2015年9月〜2016年8月の期間で,全国で「暇」というキーワードが含まれるツイートを約80万件取得し,これらのツイートを対象に,T値及びMI値を用いて「暇」と共起関係が認められる単語(名詞,動詞,形容詞,形容動詞)を抽出した.そして,三大都市を対象に,「暇」と共起関係が認められる単語の位置情報を日本地図に可視化することで,暇ツイートが集中しているスポットを明らかにし,極性分析を行うことで暇ツイートが集中しているスポットでは,どのようなつぶやきがされていて,それらがポジティブもしくはネガティブのどちらの意味でつぶやかれているのかについて,三大都市の違いを明らかにした.さらに,極性分析では拾い切れなかったユーザの潜在的な状況について,共起ネットワーク分析及びTF-IDFの両アプローチを用いて分析を行うことで三大都市の違いを明らかにした.