著者
町野 和夫
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.199-215, 2009-03-12

本稿では,町野(2003)を基にしながら,平等主義的倫理規範の進化的起源の動物行動学や人類学の知見を取り入れて,倫理規範形成過程のモデル化の枠組みを提示した。倫理規範の形成に影響する多様な要因を整理して,シンプルでかつ各過程の個別モデル同士の整合性の取れた,ゲーム・モデルが構築できることを示した。メンバー間の多様性を前提することでイニシアティブをとるリーダーの存在を内生化でき,その上で説得される人数と協同作業の成功確率を明示的に関連付けてモデル化した。さらに限定的記憶による慣習化と効用関数(利得構造)の変化として倫理規範の内面化をモデル化できることを示した。