著者
町野 麻美 若松 正樹 開田 剛史 森 康一郎 白 晋
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.666-669, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
13

【目的】末梢血白血球数(WBC)が著増する類白血病反応(leukemoid reaction, LR)の臨床的意義をICU入室患者において遡及的に検討した。【対象と方法】最近4年間にWBCが3万/μl以上を呈した患者の基礎疾患,検査所見,転帰などを調べた。【結果】LRは46例に認め,基礎疾患から,感染群(31例)と非感染群(15例)に大別された。前者のうち24例で起因菌が同定された。後者は腹腔内出血6例,心肺蘇生後4例などであった。年齢,WBC最高値,LR持続日数,担癌患者数,ステロイド使用数は感染群で有意に高値であった。好中球の核左方移動は両群とも約87%に認めた。半年後の死亡率に差はなかった(感染群51%,非感染群60%)。【結語】LRはICU入室患者の約2%に発症し,基礎疾患は感染症が多く,非感染例の約2倍を占めた。ICUでのLR発症には,感染症の有無を問わず,予後不良を念頭に置いた全身管理が肝要と考えられた。