著者
畑 倫子
出版者
日本環境心理学会
雑誌
環境心理学研究 (ISSN:21891427)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-11, 2019 (Released:2019-04-30)
参考文献数
35

小学生を養育中の母親のパーソナリティ特性,コミュニティ意識,ストレッサーの種類が,ストレス状態時の回復環境の選択に与える影響について検討することを目的として調査を行なった。インターネット調査会社のモニターの中から,子どもをもつ20歳から49歳の女性に対して調査依頼のメールを送付し,ストレッサーが明記されていた533名分の回答を分析対象とした。小学生を養育中の母親が感じている主なストレッサーは,子育て,病気(体調不良),仕事,家計,夫,そして家族問題であった。回復環境としては,自宅が選択される場合が70%と多かった。しかし,子育て,病気(体調不良),仕事に関するストレッサーと比べて主観的なストレッサー強度が有意に強かった夫ストレッサーの場合,回復環境としてコミュニティ内のサードプレイスが選択されることが有意に多くなっていた。パーソナリティ特性,コミュニティ意識,ストレッサーの種類が回復環境(自宅かサードプレイス)の選択に与える影響について,ストレッサーカテゴリーごとにロジスティック回帰分析を行った結果,パーソナリティ特性だけではなく,ストレッサーの種類も回復環境の選択に影響を与えていることが示された。