著者
畠中 岳 伊藤 良 小林 靖奈 山元 俊憲
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.85-90, 2012-07

東日本大震災の発生時は、電気・ガス・水道などのライフラインが寸断され、食料や医薬品などの物流も途絶えたため、孤立した地域が多く発生した。薬局業務では、ライフラインの復旧まで、被災を免れた医薬品を有効に活用する必要性に迫られた。また、長時間の停電のため、電子天秤による秤量が困難となった。さらに、飲料水の確保も困難で、限られた水量で調剤や服薬を維持しなければならなかった。被災者の中には、調剤や服薬における最低限の水量の確保、状態に応じた少量の散剤の秤量を必要とする患者がみられた。そのため、秤量が困難で、確保できる水量が限られた震災時には、服薬の継続ができなくなった患者の病状悪化が懸念された。本症例報告では、昨年の東日本大震災時、薬剤師の提案により、本来経管投与に利用される簡易懸濁法を経口投与で活用し、嚥下障害を有する患者に対して服薬援助が継続できたので報告する。(著者抄録)