著者
福田 邦三 畠山 一平
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.16-19,en2, 1949

わが國の農村の見本としてわれわれが採つたこの村では<BR>1.同系結婚は大部分イトコ同士結婚(4親等)であつた(13.41%).その他には5親等2.95%,6親等1.61%,7親等1.07%が見られた.<BR>2.同系結婚の優生学的指標は<BR>I=0.009631<BR>I′=0.1541<BR>3.イトコ同士結婚だけを調査した場合には指標は0.1341と出るから,吾々がした樣に之より縁の薄い同系結婚を調べ出した場合の数字に比べて明かに稍々小さ過ぎるわけである.その差異は5親等以下をイトコ結婚に換算した場合に50家庭の代りに57.5家庭という数字を得るべき程度である.言いかえればわが國の農村では此の村の例で見ると,13.4%のイトコ結婚があり,イトコ半以下をも合せ考えると15.4%のイトコ結婚があるのに相当している.これらの数字はヨーロツパの血族結婚率に比べて著しく高率であり,優生学上日本人の結婚習慣の一つの甚だ好ましからぬ側面を示すものである.