著者
白尾 直子
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.45-52, 2014-10-31

筆者の勤務する精神保健福祉センターでは,平成22年度よりひきこもり傾向のある思春期・青年期の来所者・受診者を対象とした少人数グループ療法を開始した。少人数グループ療法が参加者に及ぼす影響を検討するため,参加者のグループ療法前後での心理面・行動面の変化を心理評価尺度を用いて比較した。視覚的アナログスケールの結果では,家族から見てコミュニケーション・活動性・自己管理・こころの状態の総合評価は4項目すべてについて参加前後で有意に上昇しており,本人による評価でも自己管理を除く3項目で有意な改善が認められた。ひきこもり傾向のある思春期・青年期の対象者に対して,構造化された安全な場で少人数集団療法を行うことは心理面・行動面によい影響を与えることが示唆された。