著者
白岩 美咲 遠藤 登喜子
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.122-127, 2016 (Released:2018-06-27)
参考文献数
11

マンモグラフィ(MG)は,乳がん検診において死亡率減少効果がある有用なmodality であるが,40歳代については,乳がん発見の感度が50歳以上の年代と比較すると低いこと,偽陽性率が高いことも知られている。この一因に,40歳代の乳腺濃度が高いことがあり,対策として超音波検診の導入とともにデジタルMG(DMG)の活用が考えられる。DMG は,米国のtrial で,50歳以下の女性,不均一高濃度・高濃度乳房で精度が高いことが報告されている。日本でも近年,MG のデジタル化とモニタ診断が急速に進んでおり,2015年の日本乳がん検診精度管理中央機構MG 指導者研修会のアンケートでは,DMG が95%,モニタ診断経験が79%であった。一方,モニタ診断経験者の画素サイズ認識率は75%であり,また全国のMG 読影認定医のDMG ソフトコピー診断講習会受講率は13%であった。米国では,DMG 読影医にはDMG の講習受講が必須とされているが,日本ではその規定はない。読影医個人の検診精度管理指標もなく,読影医がDMG の特徴を理解して,その利点を引き出す読影ができているか,知るすべはない。40歳代のMG 検診に対する日米の動向の紹介とともにDMG・モニタ診断を活用した精度の高いMG 読影のために,いま何が必要なのか,具体的な読影の方法やDMG の新技術であるDigital breast tomosynthesis の話題を含めて,検討したいと思う。