- 著者
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木下 ひとみ
中村 吏江
幸 絢子
天野 愛純香
白石 剛章
森本 忠雄
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.11, pp.863-867, 2019-10-01
要約 62歳,男性.賞味期限切れの納豆を摂取し,蕁麻疹と血圧低下を生じた.大豆製品を日常的に摂取し問題ないこと,クラゲ刺傷の既往があったことから,クラゲ刺傷によって生じた納豆アレルギーを疑った.クラゲ刺傷によってポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)に感作されるが,納豆の粘稠物質にもPGAが含まれており,このPGAは納豆の発酵過程で経時的に増加すると考えられている.そこで賞味期限内および賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,大豆の水煮,ミズクラゲ,PGAを用いてプリックテストを施行した.賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,PGAで陽性であり,PGAによるアナフィラキシーショックと診断した.PGAは医薬品で使用されるほか,食品や化粧品等広い分野で使用されているため,原因不明のアナフィラキシーでまず疑うことが大切であり,クラゲ刺傷の既往や詳細な食事歴の聴取が重要である.