著者
白須賀 優香 後河内 鉄 石井 通友 坂東 敏博
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6+, pp.72-75, 2017-11-01 (Released:2018-02-20)
参考文献数
7

赤チョークや青チョークの視認性の低さは以前から問題となっており,色覚異常者にとっては色の違いも認識できないという問題を抱えている.本研究では,色覚異常の生徒と健常である生徒が共に黒板のチョークを視認できる照明の開発を目的とする.また照明にバリアフリー性を持たせるだけでなく健常者である生徒にとっても今以上に視認性が向上し快適に板書を行うことができる分光分布を検討する.第一・第二色覚者が「赤と緑が区別しにくい」という一般則は,黒板にチョークで書く文字についてはあてはまらない.検査表や食肉で有用とされていた照明がチョークではあまり有用といえなかったことから特定の色に関して同じ波長が有用であるとは一概に言えないことが分かった.チョークに関しては,赤と青の区別をするという点について,赤チョークがマゼンタのような分光反射率を持っていたことから青チョークとの差別化には,赤チョークのピーク波長付近であり,人間の認識できる範囲の赤波長である600nmが有用ではないかという結論に至った.