著者
白鳥 令
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.64-67, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)

本書は,大学教育において正規のカリキュラムにシミュレーション&ゲーミングを取り入れている立命館大学に関係する研究者たちが,シミュレーション&ゲーミングを大学教育に取り入れた自己の体験を詳細に記述し,評価し,振り返って見た報告である.実施されたシミュレーション&ゲーミングは,徳川鎖国政策を学ぶゲームから,地震の際の防災ゲーム,地方自治のゲーム,国際交渉における合意形成のゲーム,さらには,地球社会全体のグローバル・シミュレーション・ゲームまで,非常に多彩である.自己の体験を振り返って,著者のひとりは「発想」が重要だと言い,別の著者は大学教育にシミュレーション&ゲーミングを取り入れる際は「Simple, Smart, Soft」が眼目だと結論づけている.
著者
白鳥令編
出版者
早稲田大学出版部
巻号頁・発行日
1981
著者
白鳥 令
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-10, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)

政治は未来の目標を問題とする.「未来の目標を選択する行為」が政治である.政治が未来の目標を問題とする限り,誰も絶対的正しさを主張することはできないが,それゆえに,すべての人々が自分は正しいと主張できる.政治的決定は社会的決定として自分自身の将来を規定することになるから,すべての人々が,自分の問題として政治を語ることになる.こうして,政治の世界は,不確定な未来に自分の信念をかけて人々が相互に争うゲームの世界と強い類似性を示している.だが,政治が「未来の選択の行為」であり,目標を争うことを本質としている限り,初めから最終目標が設定され,そこにいかにして少ないコストで早く到達するかを目指す伝統的なゲームは,政治の本質を無視したものであり,政治の分析には不十分と言わざるを得ない.ゲームのプレイ中に最終目標と基本的価値観の変更を可能とする新しい発想のゲームを求めて,筆者は,この「政策形成と評価のシミュレーション&ゲーミング」特集号の「巻頭言」の中で,「政治とは何か?」の分析から,「イデオロギー」と「ユートピア」という人々を社会変革へと導く思想の二つのスタイルの対比まで,政治のさまざまな側面を検討し,「新しい発想のゲーム」を求める模索をしている.