著者
百崎 英
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
no.10, pp.17-28, 1998-09-30

国・地方における行政の情報化は、1998年には、二つの意味で新たな局面を迎えることになると考えられる。一つは、政府が1997年末に、これまで進めてきた行政情報化推進基本計画を全面的に改訂して新たな五か年計画を閣議決定し、これが本年4月からスタートしており、もう一つは、自治省がこれまで検討してきた住民基本台帳ネットワークシステム構想を実現するため、先の通常国会に住民基本台帳法改正案を提出し継続審議となっているが、これが成立すれば、同構想が本年からスタートすることになるからである。本稿においては、政府の行政情報化のこれまでの進捗状況及び今回改訂された推進基本計画の新たなポイントを6項目取り上げて若干のコメントを付しながら紹介するとともに、住民基本台帳ネットワークシステム構想の概要及び同構想について筆者の考える三つの画期的な意義、即ち、(1)地方公共団体の全国ネットワークの構築、(2)ネットワーク上の本人確認システムの構築-一台帳コード制、(3)広域的な行政サービスの全国展開について述べ、最後に、今後、国・地方を通ずる行政情報化を進めるに当たって解決すべき課題のうち、特にワンストップサービスを実現するための制度上の課題を中心に論ずることとした。