著者
百村 麻衣
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.371-378, 2003-12-30

1993年1月より2003年4月までの10年間に杏林大学病院に入院し,分娩管理した妊娠22週以降の三胎妊娠27症例81児を対象として,三胎妊娠における胎児発育不均衡の発生頻度を調べ,三胎における胎児発育不均衡が胎児発育に与える影響を検討した。三胎妊娠では児が均等に発育せず,体重第一位児と体重第三位児の間に15%以上の体重差を認める割合が81%,25%以上の体重差を認める割合が30%を占め,胎児発育不均衡は高い発生率であった。この胎児発育不均衡は体重第三位の児のみが小さくなることで発現していた。三胎妊娠では体重第一位児と体重第三位児の間の体重差が15%以上に達すると,第三位児に極めて高頻度に子宮内胎児発育遅延を認めることから,本基準を胎児発育不均衡と診断することが妥当であると考えられた。三胎妊娠における発育不均衡児の体型を,頭囲/胸囲比とカウプ指数から分析すると,身長,頭囲に比べ胸囲が小さく,痩せ型の胎児発育を示すことが明らかになった。