著者
皆川 幸洋
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.607-612, 2013-08-31 (Released:2013-10-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

今回われわれは,過去10 年間に当救命救急センターを受診した喀血症例60 例について年齢,性,原因疾患,気管支動脈塞栓術(bronchial arterial embolization,以下BAE)の有無,喀血量(推定),予後について検討し,文献的考察により喀血患者に対するアプローチ,BAE の適応と限界について検討した。年齢は平均69 歳(13 〜95 歳),男性35 例,女性25例。原因疾患は肺炎14 例,特発性肺出血12 例,肺アスペルギルス症6 例,陳旧性肺結核6 例,肺癌6 例,気管支拡張症4 例,外傷1 例などであった。BAE の有無については10 例にBAE を施行した。喀血患者に対するアプローチとして,チーム医療による大量喀血を念頭においた迅速なmultidetector-row CT angiography(MDCTA)による診断から,積極的にBAE を施行することと,BAE を行っても症状が安定しない症例に対する外科的治療や病態,治療環境に応じたその他の治療法の適応決定が重要と考えられた。