著者
川出 光生 原田 栄津子 西岡 宏樹 目黒 貞利
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.75-79, 2009-07-31
被引用文献数
1

本研究では,杏仁様の香気を有するチリ産の食用きのこG.gargalの人工栽培を目標に,チリ国内で採取した13菌株の中からブナおが粉・フスマ培地での子実体形成にもっとも適した菌株を得ようとした.まず,寒天培地を用いた菌糸伸長の比較により,13菌株から菌糸伸長とコロニーの形態が良好であったIWADE-GG007,GG006,GG008,GG010およびGG000の5菌株を選び,この中からブナおが粉・フスマ培地でも菌糸伸長が良好であったIWADE-GG010,GG006,GG000の3菌株を選んで子実体形成試験を行った.これら3菌株はすべてブナおが粉・フスマ培地で子実体を形成し,傘の形態,および傘の色に各菌株の特徴がみられたが,子実体収量が多い菌株はGG010とGG006の2菌株であった.本研究により,国産のブナおが粉を用いた菌床栽培によるG.gargalの人工栽培が可能であることが明らかとなり,商業生産への可能性が示された.