著者
原田 栄津子
出版者
宮崎大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

亜熱帯地方の広い範囲で自生し濃厚な旨味をもつ高級食材である亜熱帯性食用担子菌オオシロアリタケ属菌は人工栽培化が強く望まれている食用きのこの一つである。このきのこは、キノコシロアリと共に生活環を維持している共生菌であり、さらにきのこ中の生理活性化合物も注目されている薬食用きのこでもある。この独自に進化した生態系を持ち、且つ創薬の可能性も兼ね備えたオオシロアリタケ属菌研究の最初のステップとして、国内外に散在するオオシロアリタケを採取し、その子実体や菌薗を多角的分析する。得られた成果により世界初の人工栽培化を目指し、最終的にきのこと昆虫の絶対的相利共生の謎に迫る。
著者
川出 光生 原田 栄津子 西岡 宏樹 目黒 貞利
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.75-79, 2009-07-31
被引用文献数
1

本研究では,杏仁様の香気を有するチリ産の食用きのこG.gargalの人工栽培を目標に,チリ国内で採取した13菌株の中からブナおが粉・フスマ培地での子実体形成にもっとも適した菌株を得ようとした.まず,寒天培地を用いた菌糸伸長の比較により,13菌株から菌糸伸長とコロニーの形態が良好であったIWADE-GG007,GG006,GG008,GG010およびGG000の5菌株を選び,この中からブナおが粉・フスマ培地でも菌糸伸長が良好であったIWADE-GG010,GG006,GG000の3菌株を選んで子実体形成試験を行った.これら3菌株はすべてブナおが粉・フスマ培地で子実体を形成し,傘の形態,および傘の色に各菌株の特徴がみられたが,子実体収量が多い菌株はGG010とGG006の2菌株であった.本研究により,国産のブナおが粉を用いた菌床栽培によるG.gargalの人工栽培が可能であることが明らかとなり,商業生産への可能性が示された.