- 著者
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相原 彩⾹
⾕村 厚⼦
- 出版者
- 日本保健科学学会
- 雑誌
- 日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.24, 2018
【⽬的】回復期病院に⼊院中の脳卒中患者を対象に⾯接を実施し,退院後⽣活に関する認識の要因を検討した1 事例を取り上げ報告する.【⽅法】回復期病院に⼊院し,⾃宅退院予定の50 歳代男性の初発脳卒中患者に対し,退院後⽣活の認識について半構造化⾯接を3 回実施した.データ分析には複線経路等⾄性モデル(Trajectory Equifinality model:以下TEM)を⽤い、退院後⽣活の認識を等⾄点として描いた.得られたデータを試作的なTEM 図として描き可視化し,2 回⽬以降の⾯接で対象者に呈⽰した.筆頭筆者の解釈に誤りがないか,不明確な内容や疑問点を対象者と確認・修正することでデータの信頼性を担保し,TEM 図を完成させた.【結果】対象者の語りから,Ⅰ期「社会と距離を置く」Ⅱ期「⼀度は改善を実感するが復職への不安が募る」Ⅲ期「外泊により退院後⽣活のイメージが具体的に湧く」Ⅳ期「障害を受け⼊れ付き合っていく」のⅠ〜Ⅳに区分されたTEM図が描けた.【考察】脳卒中患者の退院後⽣活の認識に関わる要因をTEM図で描くことで,⼼⾝機能の回復だけを⽬的とした⽀援を提案するのではなく,その⼈の社会との関わりや思いの変化の時期を理解し捉えた上で⽀援を提供する重要性,さらにその⼈が経験する出来事の気持ちの変化や受け⽌め⽅を捉え働きかけることが,退院後⽣活の認識を促進し,障害と向き合うことに繋がると考えられた.