著者
蔦 瑞樹 相山 怜子 塚原 正俊 塚原 恵子 平良 英三
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.577-583, 2017
被引用文献数
1

<p>泡盛,4-ビニルグアイアコール(4-VG)およびバニリンの標準試薬の蛍光指紋を測定した.泡盛サンプルの蛍光指紋は,励起/蛍光波長が254.3/290.4,254.3/338.0および296.2/340.3nmの3つの蛍光ピークを有していた.後二者はサンプルの熟成期間の長いほど減少する傾向があった.励起波長300-350,蛍光波長400-450nm付近の蛍光強度は弱かったが,熟成期間の長いほど増加する傾向があった.蛍光指紋データの主成分分析により,新酒と古酒が主成分スコアプロット上で明確に分離された.一方,酒造所間の明確な差異は観察されなかった.減圧蒸留で製造されたサンプルは,熟成期間にかかわらず,常圧蒸留された新酒の近くに位置していた.泡盛,標準試薬の蛍光指紋とおよび主成分ローディングのピーク位置を比較すると,これらのピークは6つのグループに分類できることが明らかになった.そのうち,2つのグループは4-VGの,他の2つはバニリンの蛍光に由来することが分かった.これらの結果から,蛍光指紋により貯蔵期間等の泡盛品質を簡易かつ迅速に評価し,消費者への情報提供や工程管理に応用できる可能性が示唆された.</p>