著者
相沢 忠一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.89-98, 1973-06-30 (Released:2017-02-13)

ひとくちに医学英語といつても, 意味するところは広範にわたるが, 少なくとも専門語いに関しては, ラテン語とギリシャ語によつて支配的な影響を受けていることは論をまたない。この調査は, 極く基本的な医学用語, すなわち身体の主要な部分または器官を表わす用語について, 本来の英語とラテン語とギリシャ語の三者の関連において, 整理・確認しようとするものである。(その1)は, まず基本語いをアングロ・サクソン系の英語によつて見出し語として掲げ, それに相当するラテン語とギリシャ語を併記して, 両古典語から派生した形容詞, 造語要素たる連結形, および連結形を応用した若干の術語例, 等を表示したものである。原語については, できるだけ語源にまつわる資料を呈示するように努めた。このつぎからは, 同様の作業をアルファベット順にwombまで継続したあと, ラテン語・ギリシャ語が, どのような経緯を経て医学英語の語いを支配するようになつたかを, 歴史的に概観して, まとめとする。