著者
相沢 秀俊
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.240-244, 1969 (Released:2009-11-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

トリフェニールメタン系食用色素5種とウシ血漿アルブミンの結合を, 最大結合数および結合のΔFの点で調べ, その化学構造との関係を求めた。最大結合数はpHの上昇によって減少するものと, pHの変動と増減が一定の方向を示さないものに分かれた。前者に属するものにO-位にスルホン基を有するブリリアントブルーとファーストグリーンがある。後者にはギネアグリーン, ライトグリーン, アシドバイオレットが入る。また, 中心炭素のフェニール基に置換墓のないギネアグリーンに対し, P-位にスルホン基をもつライトグリーンは結合のΔFが減少する。これはスルホン基の結合力に対するマイナス効果で, 他の系統の色素の結果とも一致する。しかしO-位にスルホン基をもつブリリアントブルーでは結合力に余り差がない。この点スルホン基の位置も関係することが判る。またこの色素の場合, 結合力に差がなくともO-位のスルホン基のため最大結合数の減少することもある。さらにブリリアントブルーのP-位に水酸基を入れるとファーストグリーンになるが, 水酸基の導入によって結合数は増すが結合のΔFが減少した。アシドバイオレットは実験条件で陽荷電しているためか, 結合数は少なかった。一般的にはこれらの色素は結合数が少ない。特に低い濃度条件の結果は少なかったが, 結合の少ない場合は結合のΔFは大きくなる。これは色素のタンパク質に対する付き方および染着色素間の相互作用によると考えられる。また結合のΔFは-6, 300~-7, 500 cal/mole程度で, 実験条件でかなり差異があった。