著者
土屋 昭夫 相澤 直孝 佐藤 邦広 高橋 姿
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.173-177, 2012 (Released:2012-08-25)
参考文献数
20

線維素性唾液管炎は, 唾液腺導管内に線維素塊が形成されて導管の閉塞をきたし, 反復性に唾液腺腫脹をきたす疾患である. 腫脹時に唾液腺を圧迫すると, 導管から多数の好酸球を含む線維素塊の排出を認める. アレルギー性疾患を合併することが多く, そのため発症の原因としてアレルギーの関与が考えられている.今回われわれは, 反復する耳下部腫脹を主訴に当科を受診し, 線維素性唾液管炎と診断された3例を経験したので報告する. 3例ともにアレルギー疾患の合併があり, 2例ではステノン管からの排出物に好酸球を認めた. 全例で抗アレルギー剤の効果を認めたが, 1例を除き症状は残存しており, ステロイド治療の追加を検討している.
著者
馬場 洋徳 相澤 直孝 土屋 昭夫 髙橋 姿
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.179-183, 2014-06-10 (Released:2014-08-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

口腔底に発生する嚢胞性疾患として, ガマ腫や嚢胞性リンパ管腫のほかに表皮嚢腫・皮様嚢腫があげられる. 表皮嚢腫は MRI 画像にて T1 強調画像で低信号, T2 強調画像で高信号の内部均一の像を示すことが一般的である. 今回われわれは, 特徴的な画像, 病理所見を呈した口腔底皮様嚢腫の症例を経験した. 症例は35歳男性, 緩徐に増大する左顎下部病変を認めた. MRIT2 強調で低信号の無数の粒状結節が混在した, sack of marbles の所見を認めた. この所見は表皮嚢腫, 皮様嚢腫に特徴的であり, 他疾患との鑑別で重要な所見となる.