著者
相澤 雅文
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.147-156, 2004-08
被引用文献数
1

高機能広汎性発達障害児(者)は、適切な支援や療育を受けられる整備された環境のもとでは、生活に適応し能力を伸張できる。一方、配慮が十分になされない状態では、その生活環境への不適応から「不登校」や「ひきこもり」の状態となる場合がある。0.8%といわれる高機能広汎性発達障害児の出現率と照らし合わせると、高機能広汎性発達障害児が「不登校」に陥る割合は、健常児と比較して高いことが指摘できる。早期の段階で適切な対応がなされない場合は、さらに重篤な「ひきこもり」の状態に陥るケースがある。本稿は、高機能広汎性発達障害児(者)が「不登校」「ひきこもり」に至ったケースを紹介し、そこから把握できる様々な問題について述べる。また、予防・改善に期待できる方策について考察する。
著者
相澤 雅文
出版者
日本発達支援学会
雑誌
発達支援学研究 (ISSN:24357626)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-40, 2021 (Released:2022-10-01)

本研究では、公立小学校2 校(全17 学級、児童数393 名)、公立中学校1 校(各学年3学級、生徒数241 名)の児童生徒に「あなたの楽しみ・安心についてのアンケート」を実施した。小学校下学年(小学校1 年~3 年)、小学校上学年(小学校4 年~6 年)、中学生と3 年毎の学年グループに分類し比較検討を行った。児童生徒にとって楽しいと感じる場所は、半数近くが「家庭」であり、学校は3 割程度であった。家庭で楽しいことは「ゲーム・ネット」であり、学校では「友だちと遊ぶ・話す」ことであった。家庭と学校で児童生徒に影響を与える事物が明確に異なっており、役割も分化されていると捉えられた。Well-Being を育むためには、ポジティブな情動経験を特に学校という場でどのように保障していくのかが大切と考えられた。