著者
相越 麻里
出版者
岩手大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
岩手大学大学院人文社会科学研究科研究紀要
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-18, 2009-06

身体接触とは,知的なコミュニケーションではなく情緒的なコミュニケーションのひとつであるとされる。そして,他者に触れることは最も直接的に自分の存在を相手に伝える,原初的な伝達形態でもある(大坊,1998)。例えば,握手のように人との関係を作る第一歩となったり,スキンシップなど親密な関係を持つ夫婦や親子間のコミュニケーション手段となったりする。つまり,身体接触は,相手との「心的距離」を埋めるきっかけになるものと考えられる。山口(2003)は,身体接触は自身の身体への気づきをもたらし,自己の理解を深めることができると述べている。さらに,身体接触は不安などを低減させ,リラックス感や安心感を生起させる。山口・春木(1998)の研究では,触れられることで「うれしい」,「落ち着いた」,「励まされた感じがした」という感情が表れることを報告しており,身体接触は人に癒しを与えることが示されている。身体接触というのは我々にとっていかに重要な行為であるのかが理解できる。