著者
相馬 知奈
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1-10, 2007-04-10 (Released:2017-08-01)

「にわ」と州浜台は、共に海の景色を精巧に再現していることを検証し、平安時代に発達した庭園文化の影響の大きさを州浜史の変遷から紐解いていく。州浜台は後世、嶋形(しまがた)、島台、蓬莱の島台などと名称変化することから、古来「島」と呼ばれていた庭園と密接な関係が見通される。さらに、当時の造物文化と造園文化は蓬莱山によって通底しており、両者の造形の類似性が露になっている。
著者
相馬 知奈
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.15-25, 2009-02-10 (Released:2017-08-01)

平安朝物語に登場する「放出」は儀式が行われる際に臨時に設えられる空間であると考えられてきたが、未だ不明瞭な点が多い。本稿は儀式の場である「ニワ」との境界という視点から「放出」を論じた。「放出」は寝殿造から書院造へと建物構造の変化によって、邸内で場を変えているが、「ニワ」に隣接した境界空間としての側面を強く持っている。「ニワ」と隣接する「放出」は儀式性という「ニワ」の特性を強く反映していることを明らかにした。