著者
真田 建史
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.50-54, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
11

近年,腸内細菌叢の遺伝子を網羅的に調べるメタゲノミクスの技術開発が進み,精神疾患における腸内細菌に関する研究にも関心が高まっている。しかしながら,うつ病患者における腸内細菌叢を調べた研究はまだ少ない。我が国においては,うつ病患者において2つの腸内細菌叢で健常者と比較して,有意な違いがあるという報告が1例あるのみである。それ故,うつ病における腸内細菌叢の構成に関して,さらなる研究が必要とされる。今回,我々はデータベースとしてMEDLINE,PubMed,EMBASE,PsycINFO,Cochrane libraryを用いて,系統的文献検索を行った。検索された文献から,最終的に9つの文献が組み込まれた。このうち,観察研究が6つ,介入研究が3つであった。本稿では,このシステマティックレビューを用いて,この領域の現状と課題,さらには我々の取り組みについて報告する。