著者
石橋 功 真鍋 和明 萩原 捷夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.75-81, 1965-12-31

White Leghorn種雌にNew Hampshire種雄を配して得た種卵を,室温に1-8日間保存して,孵化率に及ぼす保存の影響を検討した.実験期間I (4月19-26日に産卵したもの),II (5月10-17日),III (5月31-6月7日),IV (6月21-28日),V (7月12-19日),VI (8月2-9日),VII (8月23-30日),VI (9月13-20日)の計8回,6274卵についての結果は次の通りであつた.1.産卵率は平均67.33% (60.91-74%),産卵数に対する種卵合格率は平均82.35%(79.09-87.01)であつた.2.実験期間I-VIIIにおける,種卵の受精率は92.63, 90.26, 87.38, 86.90, 85.81, 86.71, 83.75, 75.99%であり,受精卵に対する孵化率は92.16, 91.65, 89.30, 88.90, 82.85, 83.31, 80.24, 84.65%で,これらの平均は87.36%であつた.3.室温に1-8日間保存した場合の孵化率は,受精卵に対し92.43, 89.42, 89.85, 88.49, 87.16, 86.43, 85.94, 79.14%で,僅かながら漸次低下する傾向がみられた.また,入卵後22日で孵化した雛は,保存1日の2.07%から保存8日の5.80%へ増大し,保存日数が長くなるにつれて孵化日数も遅延する傾向が認められた.4.さらに保存日数と孵化率の関係を,実験期間別にみると,I-IVにおいては,7-8日保存を行なつても殆んど孵化率の低下はみられないが,V-VIIIにおいては,5日間以上の保存の場合に,急激な孵化率の低下がみられる.その原因は,概略27℃以上の高温の持続によつて,胚が不完全な発生を開始するためであろうと推察されるが,正確なことはさらに検討を要する.