著者
真鍋 順子

近年,日本のスタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境は,ベンチャーキャピタルや大企業,エンジェル投資家等によって,資金だけでなくオフィスや人材,ノウハウ等様々な経営支援が拡充し,エコシステムが整いつつある。一方で,ユニコーン企業の数は,米国や中国等と比べ未だ桁違いに少ない。日本のスタートアップ・ベンチャー企業が,成功するために何が必要なのか。本稿では,広報の観点から考察した。 スタートアップ・ベンチャー企業が成長過程において直面する主な経営課題は,①ヒト+情報,②モノ+情報,③カネ+情報の3 つに大別でき,成功率を上げるには,予めこれらの経営課題を認識し先手を打つ必要がある。その打ち手として,トップや経営陣が広報の重要性を理解し,広報活動を経営戦略と一体化させることが不可欠である。企業ステージに応じたコミュニケーション施策により経営課題の解決に取り組むことこそが広報の役割である。