著者
矢野 浩志
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.133, no.5, pp.270-273, 2009 (Released:2009-05-14)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

創薬の初期から,薬物吸収に関連した種々のin vitro試験や物性パラメーターが評価されるようになった.しかし,それらの数値を有効に活用するためには,溶解性および膜透過性などの化合物の物理的な特性と,実際の吸収への関連を明らかにすることが重要である.物性を通じ吸収過程を理論的に細分化し,そして統合することで,定量的な吸収率予測および吸収過程に問題がある化合物の排除へとつながると思われる.近年,難溶解性や低膜透過性に起因して,吸収低下のリスクが伴う化合物も多く合成されるなか,そのリスク自体を定量化することが求められており,そういった定量化につなげるための切り口として「物性評価と薬物吸収の関連」についてまとめた.