著者
黒綺 富裕 矢野 真司 加藤 徹 若月 淳也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.9, pp.955-961, 1990-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
36
被引用文献数
3

リン酸エステル堪型両親媒性モノマーである,phosphate (Cn-AHMP-Na)Sodium alkyl 2-hydroxy--3-thethacryloyloxypropylを,リン酸二水素アルキルの-ナトリウム塩(Cn-MAP-Na)とメタクリル酸2,3-エポキシプロピル(EPM)の反応により合成した。HPLC分析や31P-NMR分析の結果,C12-AHMP-NaはEPMのエポキシ基のβ開裂体であった。AHMP-Naモノマーの種々の物理化学的諸物姓(種々Cのn-溶荊への溶解性,臨界ミセル濃度(cmc),cmcにおける表面張力(γcmc),ミセル形成自由エネルギー(∠Gmic),分子占有面積(A))を測定した。さらにC12-AHMP-Na/水の2成分系の相図を作成した。36%以下の濃度では等方性のミセル溶液,39~62%ではミドル相,67~72%でラメラ相85%以上では結晶であった。水溶液中で重合したC12-AHMP-Naのホモポリマ-は,水,メタノ-ルを増粘した。また,ポリエチレングリコールジアクリラートで橋かけしたCn-AHMP-Naのポリマーは水,メタノールを吸液し零たが,エタノールはほとんど吸液しなかった。ミドル相の固定化を目的に,C12-AHMP-Na/水の2成分系相図のミドル相領域で重合を試みたが,重合物は等方性となり,ミドル相の固定化はできなかった。