- 著者
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石 立珣
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.179, pp.77-92, 2021-08-25 (Released:2023-08-26)
- 参考文献数
- 7
「スル」を伴って動詞化する名詞は動名詞(VN)と呼ばれている。VN は連体修飾語になる際に,論理的には「VN ノ N」と「VN スル/シタ N」の二種の構造が取れるはずである。しかし,「後退{*の/する}経済」の例からも分かるように,常に二種の構造が取れるとは限らない。中国語は連体修飾の場合に名詞・動詞のどちらも,一括して“的”を用いるため,中国人学習者は「*後退の経済」のような誤用を生み出しやすい。本稿では,連体節構造の分類方法の一つを「VN ノ N」に適用し,「内の関係」(意味的な格関係が想定可能:*後退の経済)と「外の関係」(意味的な格関係が想定不可:離婚の話)に分類した。これにより,外の関係の「VN ノ N」は一般に成立可能であり,内の関係の「VN ノ N」は極めて特殊な場合を除き,成立不可であると判断でき,「VN ノ N」の成立可否において指針となる基準を得られた。