著者
中澤 恵美里 佐々木 睦子 小松 千佳 石上 悦子
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-49, 2022-03-30 (Released:2022-04-05)
参考文献数
31

目的双子をもつ父親が,妊娠期から現在に至るまでどのように感じ考えて双子育児をしていたのか,その体験を明らかにすることである.方法A県内で双子の父親10名を対象に,半構造化面接法を行い,質的帰納的記述的に内容の分析をした.香川大学医学部倫理委員会の承認後に実施した.結果分析結果より,19サブカテゴリー,6カテゴリーが得られた.双子をもつ父親は妻の妊娠が分かった時,夫婦ともに,【双胎妊娠の喜びと育児の不安】を抱いていた.そして,双子育児が始まると,【親のサポートと双子育児の情報で安心】と感じながらも,手に負えない育児をしている妻をみて,あらためて,【大変な双子育児をしている妻へのねぎらい】の大切さに気付き,【協力してやるしかない双子育児】を覚悟した.また,双子をもつ父親は,【仕事と育児の葛藤】を抱きながらも次第に,【双子の一人一人を大事にした子育てをしたい】という父親役割を認識する体験をしていた.考察双子の父親は,想像していた以上に大変な双子育児を妻とともにすることで,妻の心身への関心と配慮の重要性を実感し,妻へのねぎらいの大切さに気付き,協力してやるしかない双子育児の覚悟を決めていたと考える.また,ワークライフバランスを模索しつつ,父親なりの双子一人一人の個性を大事にする理想の家族像への期待は,双子をもつ父親の価値観の変容と双子の父親の役割認識につながっていると考える.結論双子の父親は妻とともに双子育児をすることで,ワークライフバランスを模索しつつ,父親なりに双子の個性を大事にする理想の家族像を描いていた.双子をもつ父親の体験は,価値観の変容と双子の父親の役割認識に影響していた.