著者
田原 秀男 今西 正昭 石井 徳味 西岡 伯 松浦 健 秋山 隆弘 栗田 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.854-857, 1998-10-20
参考文献数
7

生体腎移植後の機能廃絶腎周囲に発生した粘液型脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.患者は19歳男性.1988年6月15日母親をドナーとして生体腎移植を施行した.腎移植3年後慢性拒絶反応が徐々に増悪し,1991年6月に透析導入となった.1992年1月腹部腫瘤に気付き受診した.CTにて移植腎周囲に巨大な低吸収像を示す腫瘤を認めた.移植腎を一塊として摘出した.腫瘤は病理組織学的に粘液型脂肪肉腫と診断された.腫瘍細胞はHLA-DRB1 DNA typingによって,レシピエント細胞由来のものであることが証明された.手術後再発もなく外来にて経過観察していたが1993年脳内出血にて死亡した.
著者
西岡 伯 石井 徳味 植村 匡志 国方 聖司 神田 英憲 金子 茂男 松浦 健 秋山 隆弘 栗田 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.907-911, 1987-05-20

前報において確立された超音波Bモード・パルスドップラー複合装置を用いた移植腎血流測定法の臨床応用を目的とし,腎移植31症例において,本法を施行した.その際,移植腎血流の良否を判定する為に,拡張期血流を重視した,IからIV型のパターンに分類した.その結果,血流パターンのみでは,その病態を正確に把握することは困難であるが,同一症例の同一部位における血流パターンの推移は,有用な情報をもたらす事が判明した.また,本法は腎移植後無尿期に発生する急性拒絶反応をも診断可能であった.他方,腎機能との対比においては,腎実質部血流パターンが,腎門部血流パターンに比し良好な相関が得られた.本法による血流測定は,腎移植の術後管理に簡便でかつ有用な方法である事を報告した.