著者
石井 豊彦
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Studies on education (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.13, pp.161-175, 2020-03-31

品川女子学院(東京都,私立女子校,6年制一貫)は,グローバル化への対応として入試改革を成功させた。結果,多様な学力を持つ入学者を受け入れるとともに,少子化の中で出願数をふやすことができた。また,入試改革により,受験生と保護者へ教育方針(「28project」と名付けている)の理解が促進された。これらのことから,学校経営の安定化に貢献した事例として入試改革を報告する。品川女子学院は,2015年度入試まで知識と理解能力を測る4教科型入試を3回行っていた。2016年度入試からそのうち1回の入試の出題内容を,習ったことをいかに表現するかを測る出題とし,異なった学力の合格者を出す入試に変更した。この新しい試験導入で,4教科型入試の不合格者が,表現する力を測る試験で合格するケースが倍増したことは,この変更による成功と言える。2つ目の改革は2018年度入試から行われた算数のみを測る入学試験である。これは受験機会を1回多くし,算数に優れている入学者を受け入れることを目的とした。