- 著者
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石井哲
- 出版者
- 岡山県林業試験場
- 雑誌
- 研究報告 (ISSN:03888509)
- 巻号頁・発行日
- no.21, pp.15-42, 2005-03
- 被引用文献数
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林内からの土砂流出防止等林地の保全を目的とした間伐率を検討するため、間伐率(本数間伐率0-50%)の異なる県北部のヒノキ人工林(11-70年生)20調査区(間伐後3年以内)において、2002-2004年に下層植生量を調査した。5mの方形調査区内に1mメッシュの定点(36定点)を設定し、各定点における下層植生の高さの和(定点植生高和)及び植生の有無の割合(定点植被率)を3年間継続調査した。2002年と2004年の下層植生量を比較すると、間伐率0%の調査区の定点植生高和は、3年間で殆ど増加しないか減少する傾向にあり、林床植生も極めて乏しいまま推移した。間伐率10-29%の調査区の定点植生高和は、6調査区中3調査区が増加、1調査区がほぼ横ばい、2調査区が減少した。間伐率30-39%の5調査区は、間伐率34%以下の3調査区が横ばいか減少で、間伐率35%以上の2調査区は増加した。間伐率40%以上では全ての調査区で増加していた。これらのことから、間伐後3年以内に下層植生量を増加させるための目安として、本数間伐率で35%程度以上という結果が得られた。また、定点植生高和及び定点植被率の値が大きな調査区では、各定点における下層植生の最高点から地上までの接触点数が多いため、雨滴の緩衝作用が働き、林地の保全効果も高いと推察された。