著者
石井 哲
出版者
岡山県林業試験場
巻号頁・発行日
no.25, pp.13-32, 2009 (Released:2011-03-28)

省力的で効果的な竹林の拡大防止策と利用方法を検討するため、竹林の現状を把握するとともに時期別伐採試験、薬剤施用試験、食塩施用試験、早期伐採試験及び重量変化試験等を行った。モウソウチクを時期別(3月、6月、9月及び12月)に伐採したところ9月及び12月に伐採した場合、3月及び6月に伐採した場合に比べ、伐採1年後及び2年後とも新竹の発生本数が少なかった。伐採後に成長してくる矮性化した再生竹は、3月及び6月に伐採した場合にみられ、特に6月に伐採した場合に多くみられた。モウソウチクに対し、薬剤(除草剤)を1年生の新竹と2年生以上の古竹に区分し、施用時期や施用量等の諸条件を変え施用したところ、新竹、古竹とも、施用翌年の6月までには全て枯死していた。食塩施用試験では、モウソウチクは施用翌年の発生抑制効果がみられなかったが、マダケ及びハチクについては、翌年の新竹発生量が激減しており、施用効果について今後再確認する必要があると思われた。伐採・放置された竹が竹林内への侵入を阻害し、新たな発生・拡大の要因となる伐採竹問題に対処するため、新竹の発生1年以内に伐採する早期伐採を行ったところ、6月中旬までに伐採すれば年内に腐朽したが、7月以降の伐採では稈が硬化し、竹林内に残存する結果となった。9月にモウソウチクを伐採・玉切りし、竹林内で自然乾燥させたところ、重量は10〜12ヶ月後には安定し、竹炭製造に適した15〜20%の含水率となっていた。
著者
西山嘉寛
出版者
岡山県林業試験場
雑誌
研究報告 (ISSN:03888509)
巻号頁・発行日
no.18, pp.33-66, 2002-03
被引用文献数
1

西山嘉寛・阿部剛俊:長伐期施業に対応する森林管理技術一高齢林内における下層植生の現存量の推定と林分収穫予想表の作成一岡山県林試研報18:33~66,2002本研究は、岡山県内のスギ、ヒノキ高齢林について、林内に下層植生を定着させるために必要な要因を明らかにするとともに、林齢10~150年までの林分収穫予想表を作成することを目的に行った。この研究から、以下の点が明らかになった。(1)淋齢と上層樹高の関係は、スギ、ヒノキともにミッチャーリッヒ式(Mitscherlich式)を当てはめた場合、最も相関が高かった。(2)上層樹高とha当たりの立木密度との関係は、スギ、ヒノキともに変形ゴンベルツ式(Gompertz式)を当てはめた場合、最も相関が高かった。(3)淋齢75~92年生のスギ13林分において、木本類と草本類を合わせた全下層植生の現存量と相関が高かった要因は、相対照度(決定係数R2=0.900**)、ha当たり樹冠投影面積合計(相関係数R=-0.919**)、ha当たり胸高断面積合計(R2=0.814**)、ha当たり立木密度(R2=0.717**)であった。(4)同林分の場合、全下層植生の植被率と相関が高かった要因は、相対照度(R=0.913**)、ha当たり樹冠投景多面積合計(R=-0.896**)、ha当たり胸高断面積合計(R2=0.778**)、ha当たり立木密度(R2=0.736**)であった。(5)林齢70~109年生のヒノキ17林分において、全下層植生の現存量と相関が高かった要因は、平均胸高直径(R2=0.737**)、ha当たり立木密度(R2=0.669**)、平均樹冠直径(R2=0.662**)であった。(6)胴林分の場合、全下層植生の植被率と相関が高かった要因は、平均胸高直径(R=0.770**)、ha当たり立木密度(R=-0.732**)、平均樹冠直径(R=0.706**)であった。(7)ha当たり立木密度と平均樹冠直径の関係は、林齢75~92年生のスギ林では一次式(R=-0.783**)、林齢70~109年生のヒノキ林では指数式(R2=O.881**)を当てはめた場合、長も相関が高かった。(8)林齢75~92年生のスギ林、林齢70~109年生のヒノキ林ともに、下層植生の木本類、草本類及び両者を合わせた全下層植生の現存量と植被率の間にはいずれも一次式による相関が認められた。(9)スギの場合、ha当たり立木密度と相対照度の関係はべき乗式が成り立った(R2=0.842**)。(10)立木欝度がha当たり500本未満に低下した場合、スギ林では下層植生の木本類、草本類、ヒノキでは木本類の現存量が指数的に増加していた。(11)収量比数(Ry)をスギで0.5程度、ヒノキで0.6程度に抑えれぱ、全下層植生の植被率を70%以上期待できる。(12)高齢級のスギ16林分、ヒノキ14林分に出現した下層植物は210種類であったが、このうち木本類はヒノキ林に、草本類とシダ類はスギ林にやや多い傾向がみられた。(13)ヒノキ14林分に偏って出現した木本類は、ヒサカキ、イヌツゲ、ヤブコウジ、コシアプラ等であった。(14)スギ16林分に偏って出現した草本類は、ヘクソカズラ、チヂミザサ、ミヤマカンスゲ、シダ類はリョウメンシダ、ミゾシダ、ジュウモンジシダ等であった。
著者
石井哲
出版者
岡山県林業試験場
雑誌
研究報告 (ISSN:03888509)
巻号頁・発行日
no.21, pp.15-42, 2005-03
被引用文献数
2

林内からの土砂流出防止等林地の保全を目的とした間伐率を検討するため、間伐率(本数間伐率0-50%)の異なる県北部のヒノキ人工林(11-70年生)20調査区(間伐後3年以内)において、2002-2004年に下層植生量を調査した。5mの方形調査区内に1mメッシュの定点(36定点)を設定し、各定点における下層植生の高さの和(定点植生高和)及び植生の有無の割合(定点植被率)を3年間継続調査した。2002年と2004年の下層植生量を比較すると、間伐率0%の調査区の定点植生高和は、3年間で殆ど増加しないか減少する傾向にあり、林床植生も極めて乏しいまま推移した。間伐率10-29%の調査区の定点植生高和は、6調査区中3調査区が増加、1調査区がほぼ横ばい、2調査区が減少した。間伐率30-39%の5調査区は、間伐率34%以下の3調査区が横ばいか減少で、間伐率35%以上の2調査区は増加した。間伐率40%以上では全ての調査区で増加していた。これらのことから、間伐後3年以内に下層植生量を増加させるための目安として、本数間伐率で35%程度以上という結果が得られた。また、定点植生高和及び定点植被率の値が大きな調査区では、各定点における下層植生の最高点から地上までの接触点数が多いため、雨滴の緩衝作用が働き、林地の保全効果も高いと推察された。
著者
下川 利之
出版者
岡山県林業試験場
巻号頁・発行日
no.5, pp.31-39, 1985 (Released:2015-04-17)