著者
石倉 亮治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.642-649, 1992
被引用文献数
1

千葉県では,平成4年度から8ヵ所の博物館相当施設(美術館を含む)をISDN回線で接続したコンピュータシステムの運用を開始する。名称は「千葉県立博物館情報システム」である。単独の施設ではこれまでにも全国各地の美術館や博物館においてコンピュータが導入されさまざまな機会にそれらのシステムの概要が報じられている。遠隔地にある他の施設とネットワークを組み,その運用についても博物館自身が直接携わるシステムとしては全国的にも初めての試みとなる。運用後しばらくの期間を経なければ,システムそのものの評価はむずかしいが,博物館の学芸職員が初期の段階からプロジェクトの中心となったということではきわめて希な開発例でもあり,この機会をおかりして今回のシステム構築の過程について紹介しておきたい。今回の情報システムは,「千葉県立博物館情報システム」の第1期システムとして位置づけられている。昭和63年度の基本計画,平成元年度の基本設計,2年度の詳細設計,3年度プログラム設計・製造の各工程を経て,本稿執筆の時点では4年度の運用開始に向けシステムの最終調整の段階にある。次章では,これらの各段階ごとに開発の内容と問題点の整理を行い,3章ではこうした各段階において博物館側で行ったシステム化のための準備作業についてふれ,4章では博物館における情報システムの一実践例として今回のシステムの概略を紹介したい。