- 著者
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石倉 肇
- 出版者
- Japan Surgical Association
- 雑誌
- 日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.237-247, 1989-02-25 (Released:2009-04-21)
- 参考文献数
- 52
- 被引用文献数
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Anisakis幼虫I型,Terranova幼虫A型の学名がAnisakis simplex larva, Pseudoterranova decipiens に変更されたので後者に起因する疾患名をpseudoterranivasisとする.1988年5月まで本邦で発生した総アニサキス症は11,777例に達した.日本近海における延長宿主の変遷の結果北方でpseudoterranovasis 南方でanisakiasisの発生が増加した.腸アニサキスの診断はなお精密に行うべきである.魚介生食,臨床症状の幾つかの組合せで殆ど確実であるが両疾患を鑑別するには単クローン抗体を用いた血清免疫学的検査によるべきである.両幼虫の種別特徴相違と,幼虫の人組織障害性構成物についても述べた.これらの疾患の予防にはオランダの冷凍法の法規制を学ぶべきであるが,日本では魚生食の習慣が根強く非常に困難である.しかしわれわれ日本の医師は他の予防法についても追及すべきである.