著者
石原 孝子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.7-14, 2010
被引用文献数
1

肥満の中でも腹腔内脂肪の貯留による肥満は内臓脂肪型肥満と呼ばれ,動脈硬化性疾患を惹起するリスク要因のひとつである.内臓脂肪の蓄積は生活習慣の結果であると考えられ,具体的な生活習慣を明らかにすることが重要である.そこで,腹部CT検査を含む人間ドック受診者3,659名を対象に,まず年齢・性別と内臓脂肪面積との関連を検討し,対象を40〜60代の中高年に絞って(男性1,677名,女性1,187名)内臓脂肪面積と生活習慣項目について,分散分析と多重比較を用いて関連要因を探った.その結果,内臓脂肪の蓄積には,睡眠の質や時間,満腹まで食べる,外食が多い,塩分が多い,動物性脂肪の摂取が多く植物性食品の摂取が少ない,といった食習慣,飲酒や喫煙などの嗜好習慣が影響していることが示唆された.内臓脂肪に関連するとされる運動については,男性は頻度による差がみられたが,女性は明確な差異がなかった.結論として,内臓脂肪の蓄積には,食事摂取量および飲酒量の過多,睡眠の質の低下や長時間ないし短時間の睡眠,動物性食品に偏った食事,運動不足が影響していた.