著者
石坂 雄平
出版者
関東学院大学理工/建築・環境学会
雑誌
研究報告 = Journal of technological researches (ISSN:21886679)
巻号頁・発行日
vol.63, no.110, pp.59-63, 2020-03

電子ジャーナル購読費用の高騰やオープンアクセス化が進展しない現状に対して,研究者や研究機関が不満を抱くことが多く,公共性を有する研究成果が研究資金の潤沢な国や機関に所属する人々しか享受できないのは深刻な問題である.この問題を解決するために,本研究では,研究者は当然のことながら世界中の誰もが学術論文の無料閲覧を可能とする,ブロックチェーンを基盤としたコンソーシアム型学術論文アーカイブシステムを提案し,初期的検討を行う.具体的には,アーカイブサーバにおけるデータ蓄積量および研究力スコアに準拠したコンセンサスアルゴリズムの概念を新たに提案する.また,メトカーフの法則を参照しながらビットコイン時価総額とアクティブユーザ数の間には正の相関があることを示し,提案システムのアクティブユーザ数を増やす仕掛けとして査読者にインセンティブとなる暗号通貨を与える方法を提示する.