著者
石塚 孝宏 三浦 久男 野平 博之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.10, pp.1171-1177, 1990-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
7

自発分極が大きく,電界応答性に優れた新規強誘電性液晶を合成することを目的として,光学活性1,1,1-トリフルオロ-2-オクタノール1を用いて,光学活性部位にトリフルオロメチル基をもつ液晶化合物を合成した。1とコア部分をエステル結合で連結した化合物は,Sc*相の温度範囲が狭く,自発分極も期待したほどには大きくなかった。一方,1とコア部分をエーテル結合で連結した化合物4'-alkoxy-4-biphenylyl 4-(1-trifluoromethylheptyloxymethyl)benzoate 6および 4-(5-alkoxy-2-pyri-midinyi)phenyl 4-(1-trifluoromethylheptyloxymethyl)benzoate 7は,いずれも広いSo*相をもち,自発分極も2000~3000μc/m2という大きな値をもつ優れた強誘電性液晶であることがわかった。また・これらはコア構造の違いにより応答時間の温度依存性にいちじるしい違いがみられた。さらに,これらをアキラルなホスト液晶に混合して評価した結果,6がキラルドーバントとしても優れていることがわかった。