著者
石山 嘉美
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.61-71, 2008-03

株式リターン(キャピタルゲインと配当の和を株価で割ったもの)の研究の歴史は長い。その中でメインテーマとなってきたのは,それが予測可能かという問題である。予測は不可能とする研究者が使ってきたモデルはランダムウォークのモデルであり,これは明日,来月のリターンをサイコロを振ったときに出る目の数と同じようにランダムな変数と考える。データによってこのモデルを検証すると棄却されることが多いので,ランダムウォーク説は否定されていると見ていい。これに対立するものとして,株式リターンの時系列データの中に系列相関があるという見方があり,その検証も行われてきた。大多数の研究は,期間のとり方に応じ,正または負の系列相関があることを示している。これは一定の予測可能性の存在を示すものである。