- 著者
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石山 芳夫
深田 良雄
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.641-642, 1956-09-10
まえがき 新止血剤アドレノクロムモノセミカルバゾンは,1943年Dr.F.Barconner等により合成され,ベルギー,フランス等で種々研究が加えられた結果,優れた血管強化並びに止血作用を有することが明かとなつた。 之の止血機序は,従来の血液の凝固を促進させる止血剤とは異なり,アドレナリンの止血作用によるものである。すなわち,アドレナリンは生体内で酸化されて,アドレノクロム及びアドレノキシンとなり,止血作用を現わす。このうちアドレノクロムは交感神経刺戟作用がなく,止血剤として極めて有用なことが明かとなつたが,以前は不安定,且不溶性のため実用には供されなかつた。ところが或種の誘導体,特にモノセミカルバゾンは,乾燥状態でも水溶液でも,非常に安定であることが発見され,臨床的使用が可能となつた。